【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
「最初はドミニクなのかと思ったんだけれど」
「……」
「アンドレ・マルタンを、 あいつを見ているね?」
ちゃんと隠せているつもりでしたのに、それ程私はわかりやすかったのでしょうか……
私の想いはマルタン様ご本人にも、気付かれてしまっているのでしょうか。
◇◇◇
それはある日の事でした。
朝、中等部の玄関ホールでお会いした殿下にお声を掛けていただきました。
まだ殿下のお隣にはフランソワ様はいらっしゃらなくて、背後にマルタン様も立っておられず、その時殿下はおひとりでした。
「アンドレの事で大切な話があるんだ。
午後の授業を抜けられないか?」
いつもお優しい顔をした殿下の表情はとても硬いものでしたので、私は頷くしかありませんでした。
午後の生徒会室に、殿下とふたりきりでした。
側近のフランソワ様も、護衛のマルタン様もいらっしゃらない……
ふたりきりでした。
「単刀直入に聞くけれど、君はアンドレを婿入りさせたい程に真剣に考えているの?」
「マルタン様を……婿入りで、ございますか?」
いきなりのお話に慌ててしまいました。
私に婿を取ることは決定していますし、高等部に進む頃には婚約を整えると、父がそれに向けて調整をしていることは知っていました。
ですが、現状ではお相手を絞るまでには至っていないと、聞いておりました。
「……」
「アンドレ・マルタンを、 あいつを見ているね?」
ちゃんと隠せているつもりでしたのに、それ程私はわかりやすかったのでしょうか……
私の想いはマルタン様ご本人にも、気付かれてしまっているのでしょうか。
◇◇◇
それはある日の事でした。
朝、中等部の玄関ホールでお会いした殿下にお声を掛けていただきました。
まだ殿下のお隣にはフランソワ様はいらっしゃらなくて、背後にマルタン様も立っておられず、その時殿下はおひとりでした。
「アンドレの事で大切な話があるんだ。
午後の授業を抜けられないか?」
いつもお優しい顔をした殿下の表情はとても硬いものでしたので、私は頷くしかありませんでした。
午後の生徒会室に、殿下とふたりきりでした。
側近のフランソワ様も、護衛のマルタン様もいらっしゃらない……
ふたりきりでした。
「単刀直入に聞くけれど、君はアンドレを婿入りさせたい程に真剣に考えているの?」
「マルタン様を……婿入りで、ございますか?」
いきなりのお話に慌ててしまいました。
私に婿を取ることは決定していますし、高等部に進む頃には婚約を整えると、父がそれに向けて調整をしていることは知っていました。
ですが、現状ではお相手を絞るまでには至っていないと、聞いておりました。