【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
子爵家のお荷物から侯爵家の後継へ。
夫人は自分が産んだ息子を押し付けようとしたが、貴女との相性を理由にして、侯爵閣下は却下された。


貴女が居てくれたから。
あの物語は終わった。

僕がそう言ったら、貴女は微笑んだ。

『これからは貴方が主人公の物語が始まるのね』って。


 ◇◇◇


第2王子であるシャルル殿下からは話を聞いていた。
義姉のクロエの良くない噂を流して、貶めている女が居ると。

こいつがその女か。
僕はまじまじとその女を見た。


髪はピンクがかったブロンドで、瞳はブルー。
容姿は決して悪くはない。
この女の見た目に惹かれる男も多いだろう。

こちらに関わってこなければ。
ひっそりと学院の片隅に居たなら。
その存在を許してやったのに。


「ジュールって、傷付いてるのよね。
 身も心もあの頃のことを忘れられなくて、苦しんでいるでしょ?
 大丈夫、その痛みをあたしが癒してあげるからね」


何を言っているんだと、馬鹿なのかと。
立ち去ることはしなかった。
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