【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
現在の王太子の地位なんて盤若ではないのは、理解している。
俺は単に国王陛下の第1子だからこの位置にいるわけで、俺がそれに相応しくないと判断されたなら、すぐに弟と入れ替わってしまう。
この血筋を長く保ちたいなら、より優秀な人間を、というのがこの国の王家なのだ。 

現に国王陛下も元々は第2王子だった。
英明な陛下がエイドリアンを認めたのは、彼が優秀だからだ。


 ◇◇◇


予定より早く帰国した俺に、弟は慌てて会いに来た。
クロエは王太子妃教育で登城している曜日だったので、講義が終わればお茶をしようと伝言していた。

久々にふたりきりのお茶会を堪能しようとしていたのに、彼女がそこに来る前にシャルルがやって来て、俺に『悪役令嬢』の噂を聞かせたのだった。


「明日、ドムがビグローを呼び出して、有り得ない噂を流した真意を聞き出す予定でした」


そう切り出されて説明を受けていたところに、噂の『悪役令嬢クロエ』の登場だ。
丁度3年前、『本当に好きな人』なんて言い出した馬鹿な俺を許して貰う際にクロエには宣言されていた。

「次にヤラカシたら、鉄拳制裁ですよ」と。


それは仲裁に入っておられた国王陛下の許可もあって、王城では誰もが知っている。
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