【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
リシャールが来たんならシャルルやエイドリアンなんて後回しだよ。
あたしの一番の推しはリシャールなんだもん!


「近寄るな!」

まただよ、アンドレの奴はまた。
あたしとリシャールの間に立ち塞がって。


「忙しいのに集まってくれて、ありがとう。
 手短に済まそう」

あたしを無視してリシャールは皆を見回してそう言った。
手短に済ます、って何の話?
エイドリアンもやって来る。


何なの? どうして皆であたしを囲むみたいに?
放課後の音楽室に呼び出して。
このシチュエーション、まるで……苛め?
背筋に寒気が走った。


口火を切ったのは、リシャールだった。


「私が外遊に出ている間にモンテール侯爵令嬢が君を苛めている、って噂が広まっていたらしいね。
 私は生徒会長だから、そんな噂を放置出来ないし、事実確認したくてね。
 被害者の君から詳しく聞かせて貰いたいと思っている」


良かった! リシャールもドミニクも笑顔。
クロエの件で被害者の私の証言が必要って訳ね。
もお、ドキドキさせないでよ。
悪役令嬢の断罪に必要な証言、聞かせてあげるね!


「……と言うのは建前で」

「建前?」


私の問いに答えてくれたのは建前発言したリシャールじゃなくて、ドミニクだった。

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