【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
「……まあ、いいだろう。
 俺様は気長に口説く質だから、な?」


さすがに1000年魔王なだけあるわ。
そう、気長によろしくね。


 ◇◇◇


自分が悪役令嬢ヒロインのゲームに転生したと気付いたのは、3年前。
婚約者のリシャールから『本当の恋をしたい』なんて、たわけた願いを聞かされた時だった。

あれ、何、これ?
目の前で婚約者に向かって口に出してはいけないことを説得しようとする無神経なリシャールの顔を呆れて見ながら、何故かこの場面既視感あるなぁって思って。
そしたら急に頭の中を様々な情景がいくつもいくつも通りすぎて行った。


婚約者である王太子リシャールをはじめとした……
シャルル、アンドレ、ドミニク。
それから魔王ノワール、ジュール、エイドリアン。
……そして、あのひとが。

彼等がそれぞれ甘い声で、私の名前を呼び手を差し出してくるオープニングだった。


ゲームのメイン舞台は学院を卒業した後。
学生の間に攻略対象者達との簡単なエピソードをこなしつつ、リシャールを攻略対象に選択したら、2つのルートに分岐する。
お飾り王太子妃と愛され王太子妃の2つ。


卒業までにリシャールからの好感度が高いと、愛され王太子妃だけど。
愛されルートは、リシャールの他にシャルルと、ドミニク、アンドレとの恋が始まって、人妻なのに逆ハーですみません、て感じ。

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