魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

 だけど、その時、屋敷の中から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 慌てて目を向ければ、屋敷の庭に、ミーがいるのが見えて、とっさに声をかけた。

 だけど、その声に驚いたのか、ミーは屋敷の窓にひょいと飛びのると、そのまま中に入り込んでしまって

「あ、ちょ、ダメだって! 戻ってこい!」

 あわてて声をかけたけど、もう遅い!

 マジかよ!
 ミーが、お化け屋敷の中に入っちゃった!?

「ど、どうしよう……っ」

 さっきまで熱かった体が、一気に冷えた気がした。

 冷や汗がでて、心臓もバクバクとうるさい。だけど、やっと見つけたのに、ここで見失うわけにはいかない。

 俺は、ごくりと息を飲むと、お化け屋敷の前に立った。

 ──ギィ……

 門を開ければ、錆びた鉄の音がした。なんだか、今から肝試しが始めるみたいな不気味な雰囲気。

 そういえば、中に入ったら異臭がしたとか言ってたけど、死体が埋まってるような臭いってこと?

 そんな臭い嗅いだことないから、想像もできないけど、だぶん、すっごく嫌な匂いなんだろうな。

(……ていうか、これって不法侵入になるんじゃ?)

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