魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

 庭をぬけて、玄関の前に立った俺は、ふと思った。

 昔は、お金持ちが住んでたんだろうなって、言われるほどの立派すぎる玄関。

 だけど、いくら誰も住んでいないからって、勝手に入るのは良くない気もして、ぐるぐる考えたけど、やっぱりミーをこのままにも出来ない。

(ごめんなさい! ミーをみつけたら、すぐに出ていきます! だから、怒らないでください! お化けも出てこないでください!)

 玄関前で、パン!──と、神社で神様にお願いするみたいに手を合わせると、俺は意を決して、ドアノブに手をかけた。

 ──ガチャ。

(あ……開いてる)

 玄関に、鍵はかかっていなかった。

 俺はそのまま扉を引くと、おそるおそる中を覗き込んだ。

 入ったとたん異臭がしたとかいってたけど、不思議と変な臭いはせず、中に入れば、玄関ホールって言うのかな?

 そこには、ホテルのパーティー会場みたいな大きな広間があった。

 高い天井と、赤い絨毯。

 見上げた先には、蜘蛛の巣がかかったシャンデリアがあって、その奥には、二階に続く階段。

 それも、俺の家みたいな狭い階段じゃなくて、横に三人くらい並べるような広い階段。

 まさに、ドラマとかで、すごい人たちが、すごいパーティーをする時でてくるような豪華すぎる玄関だった。
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