魔界の王子様は、可愛いものがお好き!
 魔界に連れてかれる?
 アランってやつの代わりに?

 恐怖で、小刻みに体が震え出す。
 連れてかれたら、どうなるんだ?

 もしかして、死ぬ?

「みゃーぁ!!!」

 すると、俺の危機を感じ取ったのか、ミーが威嚇しながら、ベビ男の腕に飛びかかってきた。

 だけど、ミーは、そのベビ男は、あっさり払いのけられて、床に突き落とされた。

「ミー!」

「あー、やめてください。スーツが汚れてしまう」

 なんて、酷いことするんだ。
 こいつ、やっぱり人じゃない!

「離せよ!!」

「おやおや、威勢がよろしいですね! さすがはアラン様! その風格は魔王様がゆずりでしょうか? しかし、流石にワガママがすぎますね。これ以上、逆らうと」

『あなた、そこまでバカだったのね』

「「!?」」

 だけど、その瞬間、どこからか声がした。
 
 俺の声でも、ベビ男の声でもない、大人っぽい女の人の声。

「あ"あ"ぁぁぁぁぁぁっぁぁっぁぁぁ!!?」
「ひッ!?」

 すると、急にベビ男が叫び声を上げて、俺は床にほおり出された。

 担がれた体勢から、いきなら離されて驚いたけど、そのおかげで自由になった俺は、ミーの元にかけよりつつ、改めて男をみつめた。

 すると、そのヘビ男は、自分の右手をおさえながら涙目になっていた。

(な……何が起こったんだ?)

 正直、よく分からなかった。

 だけど、その瞬間、ピトッと可愛らしい音をたてて、俺の前に何かがおりたった。

 赤と黒のゴシックドレスを着た、女の子の人形が──

『この子は、アラン様じゃないわ。あなた、どこまで単細胞なの?』

 んで、その人形が立ってる!
 しかも、喋ってる!

「!?!?!?」

 軽くパニックになった。

 ヘビ男の次は、動く人形!?

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