魔界の王子様は、可愛いものがお好き!
魔界の王子様
(この子が、アラン?)
間違えられたのに、俺とは全く似てなかった。
髪の色は銀色だし、それに顔立ちが芸能人並みに整っていて、こうしてソファーで眠ってる姿は、どちらかと言えば、お姫様みたい。
だけど、なにより驚いたのは、耳の上あたりに、ヤギみたいな小さな角が付いていたこと。
見た目は人間みたいだけど、それを見れば、その男の子が人間でないことは、すぐに分かった。
(魔界の王子って……本当なんだ)
その角をみて、ちょっと血の気が引いた。
魔界? 魔王?
なにそのゲームみたいな話。
「ねぇ、あなた名前は?」
すると、またシャルロッテさんが話しかけてきた。
「俺はハヤト……威世 颯斗」
「そう、ハヤトね。あなた、お裁縫得意なのね」
「え?」
「私の傷を治してくれたでしょ。縫い方が下手だと、動きが悪くなるの。でも、ハヤトが縫ってくれたところは、とてもスムーズに動くから」
「…………」
縫い方を褒められたのは初めてで、それも縫ってあげた本人に、褒められるとは思わなくて
「う、上手い……かな?」
「えぇ、とっても。それで、もし良ければ、あなたのその腕を見込んで、ひとつお願いがあるの」
「お願い?」
「えぇ、カールを治してくれないかしら」