魔界の王子様は、可愛いものがお好き!
第2章 王子様は家出中!

勇者と幽霊


 ピピピ、ピピピ

 次の日の朝、俺はベッドのなかで目を覚ました。もぞもぞと起き上がって、目覚ましをとめると、昨日のことを思い出して、ふと辺りを見回す。

 見慣れた部屋の、いつもの景色。

 ふだんと変わらない朝に、あれは夢だったのかと考えた。

 昨日、俺は、四丁目のお化け屋敷で、魔界の王子様に出会った。

 魔王の息子で、俺と同じように、可愛いものが好きだといった男の子。

 あのあと、アランはまだ魔力が怪我が回復してないから無理はできないどのことで、アランの代わりに、カールのケガを治してあげて、サッカーボールを本田君の家に届けたあと、ミーと一緒に帰ってきた。

 ……はずなんだけど。

(やっぱり、あれは……夢?)

 あまりにも、いつもどおり過ぎる朝に、俺はベッドの上で首を捻る。

 でも、よく考えてみたら、ヘビ男に追いかけられるとか、人形がしゃべって戦うとか、魔王の息子に出会うとか、もう、アニメの世界じゃん!?

 これは、アレか。
 俺の願望がうつしだした、夢!?

 いや、でも、もしそうなら、もう末期じゃん! 俺、そんなにストレス貯めてた!?

 夢の中で、同じ趣味の友達作りだすほど!? しかも、その相手が魔王の息子とか、俺の頭、大丈夫か!?

「なぁ、ララ、やっぱり、あれ夢だよな!?」

 思わず、ララを取り出し、語りかけた。
 ……けど
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