魔界の王子様は、可愛いものがお好き!
下校途中にご用心!
(なんか、嫌だな、あーいう空気)
学校が終わって、その日の放課後、通学路を帰りながら、俺は朝の事を考えていた。
(花村さんって、なんであんなに大人しいんだろう)
昔からあーなのか、四年生で転校した時には、もう、あんな感じだった。
同じクラスだったけど、花村さんとまともに話したのは、たったの一度きり。
だけど、それから少し気になるようになって、前に先生に聞いたことがあった。
◇
『うーん、でも、イジメがあるわけではないし』
四年生の担任だった山田先生は、花村さんのことをあまり深くは考えていないようだった。
花村さんじたい、あまり人と関わらないようにしていたみたいだし、なにより、幽霊といじられることはあっても、本当にいじめられているわけでもなかったから。
『威世くん、確かに花村さんに、お友達がいないのは心配だけど、あーいうのは花村さん本人が変わらないことには、どうすることもできないものよ』
『本人が?』
『そうよ。お友達は、自分が作る気にならないと、できないものでしょ』
先生はそう言っていた。
俺の周りには、友達がたくさんいる。
俺は、それが嬉しいし、楽しい。
だから、花村さんだって、友達が出来たら嬉しんじゃないかと思っていた。
でも──
◇
(花村さんは、友達欲しくないのかな?)
もしかしたら、余計なお世話なんじゃないか。そう思うと、何もできなくて、けっきょく、そのままになってる。
だけど、さすがに幽霊あつかいをされるのは
(……あれ?)
だけど、その瞬間、ふと違和感に気付いて、俺は足を止めた。