魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

絶対絶命!


 え、幹部!?
 幹部って、めちゃくちゃ強いやつじゃないの!?

 ていうか、そういうのって、一人ずつ来るものじゃないの!?

 いきなり全員集合とか、何だ、このクライマックス感!?

「──うわッ!?」
「あー、外れたケロ!」

 直後、いきなり足元に長い舌が伸びてきて、俺は反射的に飛び上がった。

 多分、カエル女の舌だ。

(逃げないと!)

 とっさにそう思って、俺は猛ダッシュで走り出した。

 いつもの通学路。だけど、いつもと違う道を逃げながら、必死に逃げ道を探す!

 だけど、どこを走っても、全部同じ場所に出た。きっと、ここは、もう現実の世界じゃないんだ!

「アラン様! 逃げても無駄ですよ~、ここは、もうすでに私の張った結界の中! たとえアラン様でも、この結界を壊す術はありません!」

「つーか、俺マジで、アランじゃないんだって!」

「何をおっしゃる! その波長は、間違いなくアラン様!」

 あー、だめだ! 全く聞いてくれない!
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