魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

「まだ、いうか!? その波長は、間違いなくアラン様だ! なにより、お前たちが守っているのが、その証拠だろうがぁ」

 ヘビ男は、すごく怒っているみたいだった。でも、カールさんは呆れたようにため息を吐くと、懐からもう一丁拳銃を取り出し

「守るのは当然ですよ。なぜなら彼は」

「「私たちの恩人だから!」」

 ──ドォォン!!

 瞬間、声を合わせた二人は、拳銃と傘で一斉に魔族たちに攻撃をしかけた。

 カールさんは二丁の拳銃を手にして、シャルロッテさんも、傘の先から銃弾が飛び出すような特殊な傘を持っていて、その銃口は、次々に幹部たちに命中し、またたく間にねじ伏せていく。

「くッ……たかだか人形の分際でぇッ! だが、ここは私の結界の中(世界)だ! お前たちなど、私の魔法で、今すぐチリに」

「ムリだと思うよ」

 だけど、そこに、また別の声が聞こえた。
 どこか楽しそうな子供の声。

 その声を聞いて、幹部たちが、一斉に空を見上げた。

 現実の世界では、もう夕方なのに、いっこうに日が暮れないこの世界の空は、とても青かった。

 そして、その青空の中、空中に浮かぶその声の持ち主は、分厚い一冊の本を手にして、俺達を見下ろしていた。

「「ア、アラン様⁉」」
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