魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

 男の子が、赤いランドセルを持つのはおかしいと、その場にいた全員に笑われた。

 それが、すごくショックで、帰ってから泣きながら、お母さんに話をした。

『なんで、男の子は、赤いランドセル選んじゃいけないの!』

 泣きじゃくる俺の頭を撫でながら、お母さんはずっと慰めてくれた。

 だけど、その日の夜、俺は、たまたま、お父さんとお母さんが話してるのを聞いてしまった。

『颯斗、赤いランドセルが欲しいんですって』

『え? 赤?』

『うん。今日、それでお友達に笑われたみたいなの。できるなら、好きな色のランドセルを買って上げたいけど、もし、それで、いじめられたりしたら。それに颯斗、昔から、男の子のものより、女の子のものが好きだったけど、まさか、心が女の子ってことは』

『おい、何言ってるんだよ。颯斗、サッカーも好きだし、ちゃんと男の子の遊びもしてるだろ。ランドセルは、赤が好きだから、赤っていっただけだろうし……大丈夫だよ。今は可愛いものが好きでも、そのうち男の子らしいものを好きになっていくよ』

 男らしいもの──その言葉を聞いて、おもった。

 男の子は、男の子らしくしてないと、心配されちゃうんだって……

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