魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

 アランが、くすくすと笑う。
 その姿は、まさに美少年。

「そんなもの飲んだりしないよ、僕はね」
「……あ、そうなんだ」

 ん? でも、僕はってことは、ほかの魔族は、飲んだりするんだろうか?

 この先は、ちょっと怖いから、聞かないことにしよう。

「飲み物なんて、気を使わなくていいよ。用事済ませたら、すぐに帰るし」

「用事?」

「うん。昨日持ってた、うざきのぬいぐるみ、どこにあるの?」

「え?」

 ララのことを言っているんだとわかって、俺は首をかしげる。

「ララなら、机の引き出しに……て、何する気だ?」

「うん。君、僕と波長が似てるし、これからも狙われることがあるとおもうから、君にも"騎士(ナイト)"が必要かなと思って」

「ナイト?」

「うん。まーいいから。うざきさん、貸して」

 また、にっこり笑って、手を差し出された。

 俺は言われるまま、机の引き出しから、ララを取り出さ、アランの手渡す。

 するとアランは、服の中から首にかけていたネックレスをひっぱりだした。

 金色のチェーンの先には、本の形をしたペンダントがあった。

「それは?」

「さっきの魔導書だよ。そのまま持ち歩いたら重いから、使わない時はネックレスにしてるんだ」

 すると、チェーンから外れた小さな本が、ぱっとアランの手の上で、分厚い魔導書に変わった。

「おー! すげー!」

「ちょっとはなれててね。今から、この子に聞いてみる」

「聞く?」

「うん。命がほしいかどうか」
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