魔界の王子様は、可愛いものがお好き!
第3章 気になる女の子

銀色の腕輪


 次の日の朝、学校に行く準備をした俺は、昨日、アランにもらった銀色の腕輪を見つめた。

 右手を上にして「ララ」と念じれば、その手の平に、昨日と同じようにララが出てきた。

 昨日の夜、アランに渡された青いハーツを、ララの中に埋め込んだ。

 お腹の糸を解いて、ふわふわの綿の中にハーツを入れて、また縫いつけて。

 だけど、ハーツを中に入れたからと言って、すぐに動くわけじゃないらしい。一晩たっても、ララは、動かないままだった。

(本当に、動くのかな?)

 ハーツが体になじむまでに、少し時間がかかるらしい。だけど、なんの反応もないと、ちょっと心配になってくる。

(そう言えば、カールさんのハーツは赤だったけど、なんで、ララは青なんだろ?……ていうか、ララも、あの二人みたいに、人間の姿になったりするのかな?)

 昨日、戦っていたカールさんとシャルロッテさん、すごくかっこよかった。

 守ってくれるってアランは言ってたけど、ララがあんな風にかっこよく戦う姿を想像したら、ちょっとテンションが上がる。

 まぁ、それ以上に嬉しいのは、ララと話ができることだけど!

「颯斗~、ご飯よー」

 一階からお母さんの声がきこえて、俺はまたララを腕輪の中に戻した。今日は日直だから、早くご飯食べて、学校に……

「──て、よく考えたら、腕輪もつけて行っちゃダメじゃん!!」

 はっと気づいて、青ざめた。

 昨日は、魔法に感動していて気づかなかったけど、腕輪とか、時計をつけていくのは、完全に校則違反だ!
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