魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

ウサギのララ


 ──ハヤト、ここから出して。

 それは、頭のなかに直接びびいてきて、俺は、ふと銀色の腕輪をみつめた。

 その声は、腕輪から聞こえた気がしたから。

(……もしかして、ララ?)

 たぶん、ララだ。
 ララが出してと言ってる。

 何となくそう思って、俺は目の前のガイコツをみらみつけた。

 ララが、力を貸してくれる。
 もしかしたら、ララと一緒なら、何とか出来るかもしれない!

「ララ!」

 俺は、手をかざすと、めいっぱい声をはりあげた。

 すると、手の平にシュッと人形のララが出てきて、それは、ポンと可愛い音をたてて、すぐさま人間の姿に変わった。

 白い耳に、ふわふわのピンク色の髪。
 俺が作ったフリル付きのワンピースを着た

 ──幼稚園児くらいの女の子。

「こら、ガイコツさん! ハヤトのこと、いじめちゃダメでしょ! 今すぐ、ララがやっつけてやるんだから!」

 うん、そう、幼稚園児。

 俺の半分くらいの身長で、小さく可愛らしいララは、ガイコツにビシッと指をつきたて、そう言った。

 それはもう、自信満々に。だけど

「ああああああああぁぁぁ、戦わせられるかぁぁ!!」

 とっさにララを抱き上げると、俺は花村さんを連れて、教室から飛び出した。

 なんで!? なんで幼稚園児!?

「ハヤト、おろして! ララ戦う!」

「ダメダメダメ、絶対ダメ!! お前、どうみても4、5歳だろ!」

「でも、ハヤト、ララに守って欲しいって言ってた!」

「あぁ、ごめん! ほんとゴメン! シャルロッテさんみたいなの想像してた俺が悪かった!」
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