魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

 その後、縫い終わって、俺は針とハサミを裁縫セットにしまう。

 こころなしか、ララも喜んでるように見える…ていったら、ますます笑われるかもしれないけど、こうして自分の好きなことに没頭している時間は心がみたされた。

「また、ララに新しい服作ってあげようかなー?」

 元通りになったララをみて、ふと考えるのは、そんなこと。

 今ある洋服は、五着くらい。
 また、新しく作ってみようかなって。

「お兄ちゃん!!!」

「うぇッ!?」

 だけど、いきなり扉が開いて、俺は慌ててララと裁縫セットをポケットの中に隠した。

「ゆ、夕菜! いきなり入ってくるなよ!」

 入ってきたのは、妹の夕菜。

 今、小学四年生の夕菜は、ちょっと口うるさくて、なまいき。だけど、その夕菜が、泣きそうな顔をしていて、おどろいた。

「うぅ、お兄ちゃんっ」

「ど、どうしたんだよ! なにかあったのか!?」

「ミーが、ミーがいなくなっちゃったぁ!」

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