魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

「ハヤト~!コレ見て!」

 部屋に戻ると、ララがノートに書いた絵を、俺の前に持ってきた。

 いつも腕輪の中にいるのは、窮屈かなって思って、たまにこうして、俺の部屋で遊ばせてあげてるんだけど

「ララ、もう少し声を小さくして。お母さんたちにバレたら大変だから」

「あ、ごめんなさい」

 実体化したララたちは、人にも見えるらしく、一見すれば普通の人間と変わらない。

 だから、王子であるアランの身の回りの世話は、カールさんとシャルロッテさんがやってるんだって、料理とか掃除とか。

 でも、あの姿で町を出歩いてるせいか、この前はアニメキャラのコスプレをしている人と間違われたらしく、写真を撮られそうになったらしい。

 まぁ、あんなゴシック服と執事服を着て、この付近を歩いていたら目立つしな。

 なによりシャルロッテさんは美人だし、カールさんはイケメンだし、アランと3人並んで歩いていたら、もう別世界の煌びやかさだ。

「ハヤト、これお星様!」

 するとララがまた絵を見せながら話しかけてきて、俺はララのノートを見つめた。
 
 あれからまたララに新しい服を作ってあげようと思って、今ララにどんな服を着たいか考えてもらってるんだけど

「ん?どれが、星?」

「これ、これ!」

「星?……そうか。じゃぁこっちは?」

「こっちは帽子だよ!」

「……帽子」

 残念ながら、幼稚園児並の画力しかなくて、何の絵かさっぱりだった。

 でも、星のマークと帽子が欲しいのはなんとなく分かって、ララの絵の横に俺なりに考えた服を描いてみる。

「こんな感じ?」

「わ〜ハヤトすごい! ララが思ってたのと一緒!」

「あはは、そっか。じゃぁ色はどうする?」

「うーん、青と水色!」

「二色か。じゃぁ袖の色を左右で変えてみるとか?」

 案外、デザインはあっさり決まった。

 そう言えば、水色の布とかあったかな?
 あ、記憶を消されたら、ララはどうなるんだろう?

 魔族から狙われなくなったら、守ってもらう必要ないし、ララも普通の人形に戻っちゃうじゃ……そんなことを考えていると

 ──コンコンコン!

 突然、窓ガラスが鳴った。
< 70 / 100 >

この作品をシェア

pagetop