魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

アランの屋敷


 そして、やってきました土曜日。

 でかける準備をした俺は、お昼を食べたあと、家を出て、四丁目のお化け屋敷までやってきた。

 今、アランたちは、この屋敷に住んでるみたいなんだけど……

(どうみても、廃墟だよな?)

 門の外から、こっこり中を覗いて見たけど、中は前に見た通り、荒れ放題の廃墟。

 窓ガラスも割れてるし、中もだって変わってなさそう。

「ハヤトくん!」
「あ、カールさん」

 すると、背後からカールさんに声をかけられた。今日も、変わらず執事みたいなオシャレな服を着たカールさん。

 だけど、買い物帰りなのかな? 手には、卵とか食べ物が入った袋を持っていて、ちょっと不釣り合い。

「いらっしゃい、入っていいよ」

「え?! 入るって、ここ廃墟だよ!?」

 さも当前のように言われた。
 てか、やっぱりここに住んでるんだ!?

 俺が驚いていると、カールさんは、辺りに誰もいないのを確認したあと、入口の門を開ける。

「外から見れば、廃墟だけどね。まぁ、中に入ればわかるよ」

 そういって、爽やかな笑顔をむけられた。

 相変わらずイケメンだなー。でも、人形なんだよなー……なんて思いながら、俺は言われるまま、中に入った。

「え?」

 すると、さっきまでボロかった屋敷が、一瞬にして見違えるように綺麗になった。

 窓ガラスも割れてないし、壁に穴も空いてないし庭だって綺麗!

 
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