魔界の王子様は、可愛いものがお好き!
「なんで!?」
「驚いたかい。アラン様が《時の魔法》を使って、この屋敷の時間を百年ほど巻き戻したんだ」
「百年!? あ、だから綺麗なんだ! あれ?でも、外から見たら廃墟だったよ?」
「それは、結界を張った上に《目隠しの魔法》で、カモフラージュしてるからね。普通の人間が見たら、外も中も、ただの廃墟だよ」
なんか、サラッとすごいこと言われた。
アランって凄いな。魔法でなんでも出来ちゃう。そう言えば、初めて魔法を使ったの四歳とか言ってたっけ?
やっぱり、魔界の王子だけあって、優秀なんだろうな。まさに、魔族のエリートって感じ!
「アラン様なら、二階にいるよ」
「うん!」
カールさんに言われて屋敷の中に入ると、俺はそのまま二階に向かった。
中は、この前ヘビ男に追いかけられたお化け屋敷とは思えないくらい豪華で、なんか、お金持ちの屋敷に遊びに来たみたいだった。
そして、俺がソワソワしながら階段をあがると
「ハヤト、いらっしゃい!」
そう言って、アランが駆け寄ってきた。
銀髪で、今日も変わらず美少年なアラン。
服装もオシャレだし、魔界に住んでたなんて誰も思わないだろうな。
「アラン! こんにちは~」
すると、俺のポケットから、ララが顔をのぞかせて、アランに挨拶をする。
「あ。ララちゃんも一緒なんだね」
「うん! ララもいっしょに選ぶの!」
「そっか。楽しみだね。じゃぁ、さっそくいこうか?」
すると、アランがそう言って
「おぉ!」
と、俺が返事をすれば、アランは嬉しそうに笑って、俺たちは、二人一緒にお化け屋敷にあとにした。