魔界の王子様は、可愛いものがお好き!
クラスメイトとの遭遇
「こんなところで、何してるの~」
そして、その三人は、俺を見るなり、学校と同じテンションで近寄ってきた。
マズい。俺が、手芸屋さんにいたなんてことが学校で広まったら、裁縫が趣味で、オマケに可愛いものが好きだってことも、バレてしまうかもしれない!?
「威世くんが、こんなとこにいるなんて、珍しいね~」
「お母さんときたの?」
「あ、えっと……っ」
どうやら、母親の付きそいできたと思われているらしい。でも、ここにお母さんはいないし、どうしよう。どうやって、乗り切ろう。
「ハヤトは、僕に付き合ってくれてるんだよ」
すると、アランが俺の後ろから、ひょっこり顔を出した。
俺の事をかばってくれたのか、その瞬間、女子の視線は一気にアランに集中する。
「わ! こ、こんにちは!」
「が、外人さん! 威世君の知り合いなの!?」
「あ、しりあいっていうか……」
頬を染めて、興味津々にアランのことを聞いてくる女子たち。
だけど、友達って言うのは、なんだかすごく恥ずかしくて、思わず出た言葉は
「こ、コイツは、俺のイトコの、友達の、親戚!」
「へー、そうなんだー、どこの国の人?」
「どこの!?」
「ノルウェーだよ」
「へー、ノルウェーの人って、銀髪の人もいるんだね! 私、初めて見たー」
ノルウェー人に銀髪が、本当に要るのかはわからないけど、アランは、話を合わせてくれたみたいだった。
そして、その後、女子の興味は、すっかりアランに移ってしまった。
「ねー名前? 年はいくつ?」
「名前はアラン。年は10歳だよ」
「うわー同級生だ! 手芸屋さんで何してたの?」
「布を買いに来たんだ。君たちは何しに来たの?」
「ビーズを買いに来たの! ここの手芸屋さん、可愛いビーズがたくさんあるから。ほら、今、こういうブレスレット作るのに、私達はまってて」
「へー、可愛いね。僕も作ってみようかな?」
「え? 作るの? アラン君が?」
「うん、僕、裁縫も可愛いものも大好きだから!」
また、にっこり笑ってアランがそういった。
俺は隠すのに必死なのに、アランは隠すどころか、胸を張って好きだと言っていて、なんだか複雑な気持ちになった。
どうやったら、あんなふうになれるんだろう。どうやったら、アランみたいに、自分に自信をもてるんだろう。