魔界の王子様は、可愛いものがお好き!
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それから、女子が店を出た後、布とか色々を買って、俺達は、商店街のはずれにある公園で休憩をすることになった。
自販機でジュースを買うと、ブランコに座って、一息つく。
ちなみに買った荷物は、二人とも腕輪の中。これ、買物した時、めちゃくちゃ便利だな。
「なんだか、あっという間だったねー」
「そうだなー」
アランが、ミルクティーを飲みながら呟いて、俺も炭酸のクレープジュースをのみながら返した。
本当に、あっという間だった。
お昼すぎにでて、気が付けばもう夕方。
ざっと三時間くらいかな?商店街の中をブラブラしていた。
まぁ、そのほとんどが、手芸屋さんとか、雑貨屋さんにいたんだけど。
「ハヤトって、けっこう、気を使うタイプなんだね」
「は?」
だけど、いきなり、よく分からないことを言われて。え? 気を使う……タイプ?
「なに、いってんだ?」
「うーん、今日一日、一緒にいて思ったんだけど、男らしくとか、子供らしくとか、けっこう周りを気にして生きてるんだなって。イメージどおりにふるまってるって言うか、あたりさわりなく生きてるって言うか。親にも、好きなもの秘密にしてるくらいだし」
「……」
なんだか、心にズシンときた。
そう言われると、俺、周りに気を使って生きてるのかな?
「自分に嘘ついて生きるのって、辛くない?」
「っ……仕方ねーだろ! 俺だって、言えるなら言いたいけど! でも……アランにはわかんねーよ!」
「わかるよ。僕も魔界での暮らしは、そうだったから」
「え?」
フランコに座って、ゆらゆらと足をゆらしながら、アランは悲しそうにいった。
「王子ってさ、外に出る時は、必ず魔王スタイルにならなきゃいけないんだ」
「魔王スタイル!?」
「そう、もう、全身黒づくめの、いかにも魔王様ですって感じの服。全く可愛くないし、マントとかつけて、いつの時代だって感じ。おまけに、一切笑うなって。威厳を大事にして、国民に舐められないように、常に魔王の息子らしく、男らしくしてろって」
「……マジか」
「うん」
なんか、魔王スタイルのアランとか、想像つかなかった。
それでも、きっとカッコイイんだろうけど、王子の生活って、思ったよりキツそうで驚いた。
「可愛いものが好きなんて、全く言えない雰囲気で、自分の部屋の中でしか、自分らしくいられなかった。好きなものを、好きって言えない。笑いたくても、笑ってもいけない。自分を隠しながら生きるのって、すごく辛い」
「……」
「でも、そういうのって、魔界独特のモノなんだと思ってたんだ。でも、どうやら人間界も変わらないみたいだね。こっちもにいるみたいだ、厄介な魔物が」
「魔物?」