甘く落ちて、溶けるまで
プロローグ
人は見た目が9割ってよく言うよね。
私的にはそれ、結構当たってると思うんだ。
「有栖さん、今日の掃除当番代わってもらってもいいかな?」
「え…?」
普段滅多に話しかけてこないクラスメイトが、手を顔の前で合わせておねがいポーズ。
…これ、今月で何回目だろ?
「うん、いいよ」
にこって笑うと、クラスメイトもニッコニコ。
「ありがとう〜!じゃあ、よろしくね!」
たった二言だけ残して、またどこかへ行ってしまった。
はぁ〜しょうがない。
予約してた新作コスメは、また明日取りに行くとしよう。
有栖 瑠奈、16歳の高校1年生。
黒髪ロングで眼鏡をかけた、一見暗くて冴えない地味子に見える……けど。
眼鏡をとったらあら不思議。
とーっても可愛い美少女に大変身しちゃうんだ。
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