甘く落ちて、溶けるまで

遊び感覚で他人の事情に首を突っ込む椿くんと、そんな嫌な奴を少しでもカッコイイと思ってしまった自分へのイラつき。



そういうのが耐え切れなくなって、ついムキになってしまった。



後悔はしていない。



このイライラを溜め込んだら、後で爆発しかねないもん。



まだまだ言い足りないけど、また何か言われるんだろうなと思い身構える。



息を整えて、キッと椿くんを睨みつけた。



すると、椿くんは一瞬ポカンとして。



「…ぷっ、あははっ…!やば、面白すぎでしょ有栖さん…!」



思い切り吹き出した。



「…はい?」



予想外の反応に目を丸くする私。



さっきまでの嫌な感じを全く感じさせないような笑い方。



無邪気に笑う椿くんは、年相応の男子高校生に見える。



っ…それはずるすぎ…。



顔が良い人が笑えば、どんなに性格が微妙でも当然カッコよく見えてしまうわけで。
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