甘く落ちて、溶けるまで
そんな私を察したのか、椿くんはバツが悪そうに「あー…」と言い淀んだ。
「間違っても、有栖さんがこういう子だってことは喋らないから安心して。言うわけないから」
「えっ…?」
俯きかけていた私が、パッと顔を上げる。
一瞬、ほんの少しだけ見直しかけた…のに。
「有栖さんの本当はすっごく可愛いところなんて、俺だけが知ってれば充分でしょ?」
頬に添えられた手から伝わる温度が。
「猫かぶり同士、上手くやろうよ」
「〜〜っ冗談じゃないわ!!」
私の頬までも熱くさせたのだった。