甘く落ちて、溶けるまで



不思議そうに首を傾げる椿くんの横で、私はこっそり口角を上げた。



ふっふっふ〜これなら椿くんも、ちょっとは痛い目に遭わせられるんじゃない?



心の中でほくそ笑む私のことなど、知ったことではないだろう。



椿くんの驚く顔が、今から楽しみだなぁ…。



朝のホームルームが終わっても尚、頭の中にはそんな考えしかなかったのであった。



***



床に叩きつけられるボール。



ダンダンと響き渡って、その度に体まで揺れ動く。



今日の4限目の授業は体育であり、女子・男子ともに種目はバスケ。



体育館のコートを半分にして男女に別れた私たちは、各々シュート練習をしている。



そんな中、一際注目を浴びている奴がいた。



「椿くんかっこいい〜!」



「顔よし頭よし、オマケにスポーツ万能なんて…!」



「こんなにスペック高かったとか、惚れるしかない」
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