甘く落ちて、溶けるまで
そもそも2クラス合わせた女子の合計人数は奇数となるため、自然と誰か一人だけ余る計算になる。
それが自ずと私になるというわけ。
別にいじめられているわけでもなんでもないのに、おかしいと思わない?
それが地味子の末路ってやつ。
あ、ちなみに男子の人数を言っておくと、元々偶数だったのが椿くんが来たおかげで奇数になったんだよ。
そしたらこの後どうなるかっていうと。
「有栖さん、俺も余ったから一緒に練習しない?」
なにか含みがある笑みを浮かべた椿くんが、男子コートからこちらに来るというわけだ。
周囲がざわつくのを感じながら、椿くんの方を向いてにこりと笑う。
「うん、いいよ。よろしくね」
よし、かかった…!
「なんか有栖さんだけずるくない?」
「ね。地味子のくせに椿くん独り占めしちゃって」
「身の程をわきまえろっつの」