甘く落ちて、溶けるまで

そもそも2クラス合わせた女子の合計人数は奇数となるため、自然と誰か一人だけ余る計算になる。



それが自ずと私になるというわけ。



別にいじめられているわけでもなんでもないのに、おかしいと思わない?



それが地味子の末路ってやつ。



あ、ちなみに男子の人数を言っておくと、元々偶数だったのが椿くんが来たおかげで奇数になったんだよ。



そしたらこの後どうなるかっていうと。



「有栖さん、俺も余ったから一緒に練習しない?」



なにか含みがある笑みを浮かべた椿くんが、男子コートからこちらに来るというわけだ。



周囲がざわつくのを感じながら、椿くんの方を向いてにこりと笑う。



「うん、いいよ。よろしくね」



よし、かかった…!



「なんか有栖さんだけずるくない?」



「ね。地味子のくせに椿くん独り占めしちゃって」



「身の程をわきまえろっつの」
< 25 / 39 >

この作品をシェア

pagetop