甘く落ちて、溶けるまで
他の人たちとは離れた場所で練習しているから、キャラを作る必要もないし。
椿くんにバカにされるような、みっともない姿を晒すのは私のプライドが許さない。
いつでも全力。
これ、私のモットーね。
「椿くん、ちょっとペース落ちてきたんじゃないの?」
「まさか。こんなんで疲れてたらやばいでしょ。そっちこそ息切れてない?」
「そんな事ないし!」
両者ともずっと同じペースを保っている…ように見える。
でも、女子と男子じゃ体力に差が出てきてしまうのも無理はない。
始まってからものの数分で、私の腕が悲鳴を上げていた。
う、腕が死ぬ…!
上げっぱなしの両腕は、気を抜けばすぐにでも垂れ下がってきてしまいそう。
っ…やるなら、今!
「椿くん、ちょっとタイム!」
「うん?もう降参した?」