甘く落ちて、溶けるまで
女の武器を最大限に使い、自分自身の魅力を倍増させて椿くんを落とす。
これが、椿くんの上を行く最短ルートだと思った。
あとは出てきた髪の毛をアメピンで留めてから、甘めのフリル付きピンクシュシュをすればもう無敵。
文句のつけようがない、「可愛いポニーテール女子」の出来上がり。
これを見て、私がどんなに可愛くて魅力的な女か思い知ればいいわ…!
「椿くんお待たせ…って、あれ?」
自信たっぷりに胸を張って椿くんに話しかけようとしたら、ついさっきまで目の前にいた椿くんの姿がなかった。
え、なんでいないの?
そう思って、後ろを振り向こうとしたとき。
「椿くんどこに───っひゃあ…?!」
首にふーっと息がかかり、自分でもびっくりするくらい変な声が出て慌てて口を抑えた。