甘く落ちて、溶けるまで

「へぇ…そんな可愛い声出せるんだ?もっと聞かせてよ、瑠奈ちゃん」



「っ…!!」



みんなからは見えない、ギリギリの死角。



妖艶に微笑む椿くんが、耳元でわざとらしく呟いた。



っ…やられた。



私が髪を結ぶのに下を向いていたから、その隙をついて後ろに回ったのだろう。



実を言うと、私は首がものすごく弱い。



息をかけられたり、触れられたりしたら…こうなることは目に見えていたというのに。



「ふっ…瑠奈ちゃんが恥ずかしがってるとこ見るの、たまんない。すっげー加虐心煽られる」



「!?ば、ばっかじゃないの…っ」



「強がってる瑠奈ちゃんもかわいーね?」



「っ〜!!?」



次々と椿くんの言葉がドスドス刺さって、もう瀕死寸前。



顔は火照って熱くて、触ったら火傷しちゃいそう。
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