甘く落ちて、溶けるまで
「…ごめんね?人を待ってるから」
…なーんだ、彼女持ちか。
一瞬それが砕かれ、心の中で項垂れる。
でも、ここで引き下がる私じゃないよ?
こんなイケメンを逃したら、絶対後悔する。
「え〜?じゃあ、そのお友達も一緒でいいから!ほら、駅前にあるカラオケ屋さんのクーポン持ってるの…!」
ね?と言って、笑顔を崩さずに提案したら。
「…だから、迷惑だって言ってんの。そんなこともわかんない?」
その声があまりにも冷たくて、ヒヤリとした。
私を軽蔑するような蔑んだ目。
鋭いその視線が、グサリと突き刺さる。
「っ…」
「じゃ、そういうことだから。やめたほうがいいよ?こーゆーの」
最後にそう言って去っていった彼を見て、歯を食いしばった。
自業自得。
…私、普通に嫌な女だった。