甘く落ちて、溶けるまで
猫かぶり同士
……………嘘だ。
「椿 玲央です。よろしくお願いします」
休み明けの月曜日。
私の教室に現れた転校生は、私が逆ナンをしても追い払ってきたあのイケメンだった。
クラスメイトのほとんど…というより、女子たちの悲鳴に似た黄色い歓声が教室内に響き渡っていた。
みんな目の色を変えて、きゃあきゃあと盛り上がっている。
そんな中でただ一人、真っ青な顔をして目を逸らしている人物がいた。
え……なにこれ。
言うまでもなく、私である。
ど、どうしよう…!?まさかバレたりしないよね!?
焦りと不安。
その二つが重なって、思い切り動揺していた。
しかも、彼がどこの席になるのかなんて目に見えている。
今の座席的に、彼が座れそうなのはちょうど空いている私の隣だけ。
となれば、自然とここになるわけで。