君の隣でみつける愛
そういえば、

2年前に東華学園を10年連続全国大会出場に導いた名監督が引退した。

その監督に教えて貰いたくて東華に進学する人もたくさんいたほどの名将だったらしい。

それも、全国中からバスケ部を目指して進学する人がいるほどに。たしかに、何回か話は聞いたことはあったが、東華に入ると決めたときから勉強に追われすぎていて、あまり気にしていなかった。

まぁ、だからといってこの高校に入ったことを後悔はしていない。以前に少し劣るが、それでも東華学園は県内ではトップクラスの強豪校だ。

「今年は男バスもけっこう入るみたいだし、賑やかになるなー」

「男バスは人数少なかったんですか?」

「うん、ずっとぎりぎりだったよ。10人いくかどうかくらい。だから、交代もあんまりできてなくてね」

「それ、すごいきつそうですね」

「ね、交代なしはほんとにきつい」

5人いれば試合に出れるとはいえ、やっぱり40分を交代なしで走り続けるのはきついだろうな。


今日は部活見学だけだったので部室に荷物を置かせてもらい、制服のまま体育館にむかう。


2階のギャラリーから練習を眺めると

はじめて東華学園のバスケを見たときと同じワクワク感、ドキドキ感が止まらなかった。

アップがはじまると、さっきまであったフワフワとした雰囲気が一瞬にしてこちらまで緊張が伝わってくるほどの、張り詰めた、集中している空気に変わった。

「目、凄いきらきらしてたよ」

10分間の休憩にはいったとき、杠くんに声をかけられた。

「だって、ずっとずっと憧れてたから」

あの日、見た選手の表情、圧倒的な強さ、すべてに憧れた。
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