再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
「どうした、何かあったのか?」
電話に出る私の様子から、尊人さんも何かあったと気が付いたらしい。

「子供が熱を出したらしくて」
「具合が悪かったのか?」
「いえ、そんなことはありませんが・・・」

そういえば、朝から機嫌が悪かった。
いつもは喜んで保育園に行くのに、珍しくぐずっていた。
でも、私は凛人の体調不良に気が付かなかった。

「ここはいいから、行ってやりなさい」
「はい、急ぎの仕事だけ処理したら行かせていただきます」

週末に来たメールと今日のスケジュールだけは処理していきたい。
もし急ぎのメールを見落とせば大変なことになるし、副社長のスケジュールも私でなければ分からないことも多い。
最低限今日一日困らないように準備しておかないと。

「何バカなことを言っているんだ。子供よりも優先する仕事なんてあるのか」
マウスを持つ手を上から止めたられた。

「しかし、仕事は仕事です。今はまだ保育園で見てもらっていますので、急ぎの仕事だけすませてから向かいます」
いくら尊人さんに言われてもここは譲れない。

「頑固な奴だな」
そう言うと、尊人さんもデスクに戻り仕事を始めた。
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