再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
MISASAから保育園までは車で10分ほど。
そこで凛人を受け取り、私達はそのまま病院へ向かった。

「熱が高いのか?」
運転席からミラー越しに後部座席を見る尊人さんはとても心配そうな顔をする。

「子供ってよく熱を出すので、心配なはいと思います。ただこの子は喘息の持病もあるので、一応病院へ連れて行きます」
「そうだな、それがいい」

生まれて以来ずっと健康体の私は喘息になったことも無いし、弟を含め家族の誰も喘息の既往はない。
そのせいか初めて凛人が喘息の発作を起こした時にはすごく慌てた。
今でこそ薬もあって対処にも慣れたけれど、発作が起きた時の凛人は苦しそうで、見ている方も辛くなる。

「喘息は大人が思っている以上に苦しいから、大事にしてやるといい」
「ええ。って、もしかして喘息の経験があるんですか?」
「ああ、子供頃は時々発作が出て、病院にも通っていた」
「そう、だったんですか」

はじめてみつけた尊人さんと凛人の共通点。
場違いだと思うけれど、この時私はなぜかうれしかった。
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