再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
個人的な用事と慎之介先生が言ったように、尊人さんは秘書も付けづに1人で訪れたらしい。
そのため事務所へと向かうエレベータの中は、尊人さんと私の2人きりになってしまった。
「久しぶりだね」
「ええ」
2人きりになったことを確認したうえで、ごく自然にかけられた言葉。
初めは人違いで通そうかとも思ったけれど、さすがに無理があるだろうと諦めて返事をした。
「変わりない?元気だった?」
「・・・」
私は返事をしない。
変わりはある。
あの頃とは何もかもが変わってしまった。
私はもうあの頃の佐山沙月ではない。
いっぱい泣いて、いっぱい笑って、必死に生きて今日までやって来た。
だから、変わりはあるし、元気でもなかった。
でも、尊人さんにそのことを話すわけにはいかない。
「もしかして、怒ってる?」
「いいえ」
怒ってはいない。
今自分の手で凛人が抱けるのは尊人さんのお陰。
尊人さんが命を与えてくれたから、今の私がある。
そのことは素直に感謝している。
でも、
「慎之介先生のお友達なんですね」
話しを変えたくて聞いてみた。
「うん、学生時代からの友人だ」
「そうですか。申し訳ないですけれど、私とは今日が初対面だってことにしていただけませんか?」
「どうして?」
うーん、どうしてだろう。
正直言うと、凛人と尊人さんとの関係に気づかれたくないから。
でもそのことを言うわけにもいかないし、なんとかごまかすしかないのだが・・・
「私には私の今の生活があるので」
「ふーん、なるほどね」
納得したようなしていないようなどちらともつかない反応のまま、尊人さんは黙ってしまった。
そのため事務所へと向かうエレベータの中は、尊人さんと私の2人きりになってしまった。
「久しぶりだね」
「ええ」
2人きりになったことを確認したうえで、ごく自然にかけられた言葉。
初めは人違いで通そうかとも思ったけれど、さすがに無理があるだろうと諦めて返事をした。
「変わりない?元気だった?」
「・・・」
私は返事をしない。
変わりはある。
あの頃とは何もかもが変わってしまった。
私はもうあの頃の佐山沙月ではない。
いっぱい泣いて、いっぱい笑って、必死に生きて今日までやって来た。
だから、変わりはあるし、元気でもなかった。
でも、尊人さんにそのことを話すわけにはいかない。
「もしかして、怒ってる?」
「いいえ」
怒ってはいない。
今自分の手で凛人が抱けるのは尊人さんのお陰。
尊人さんが命を与えてくれたから、今の私がある。
そのことは素直に感謝している。
でも、
「慎之介先生のお友達なんですね」
話しを変えたくて聞いてみた。
「うん、学生時代からの友人だ」
「そうですか。申し訳ないですけれど、私とは今日が初対面だってことにしていただけませんか?」
「どうして?」
うーん、どうしてだろう。
正直言うと、凛人と尊人さんとの関係に気づかれたくないから。
でもそのことを言うわけにもいかないし、なんとかごまかすしかないのだが・・・
「私には私の今の生活があるので」
「ふーん、なるほどね」
納得したようなしていないようなどちらともつかない反応のまま、尊人さんは黙ってしまった。