再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
「お待たせしました。どうやら風邪のようです。お薬ももらったので、すぐよくなると思います」
「そうか、よかった」

もういいから帰ってくださいと言っても帰ろうとしない尊人さんは、凛人の診察が終わるまで待合で待っていた。

「あの、後はタクシーで帰りますから仕事に戻ってください」
「うん、君たちを送ったら仕事に戻るよ」
「いや、でも・・・」
「いいから、行くぞ」

いくら言っても尊人さんは引きそうもない。
いつの間にか私や凛人のカバンを持って今にも病院を出ようとしている。
仕方ない、今日はこのまま尊人さんの好意に甘えよう。
出来るだけ接点を持たないでいようと思うのに、グイグイと迫ってくる尊人さんとの関係に私は少しだけ不安を感じていた。
そしてその不安は的中することになる。
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