再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
凛人の発熱翌日に1日だけ仕事を休み、私は仕事に戻った。
さすがに凛人はあと2日ほど保育園をお休みしたけれど、その間は実家で預かってもらえたため私は仕事に出ることができた。
もちろん、「母親が付いているべきだろう」と尊人さんには叱られたけれど、私は気にしなかった。
たとえ周囲から何を言われても、自分が正しいと思うことをするのがベスト。
子育ては周りに流されてはいけないと思っている。

「そうだ、午前中に来客の予定があるんだ。10時ってことなんだが、スケジュールは大丈夫だよな?」
「ええ。お昼に昼食をはさんで専務とのミーティングがありますが、それまでは大丈夫です。どなたかお客様ですか?」

秘書を介さず直接の約束ってことは、個人的なお知り合いってことだろうか。

「外務大臣の田所先生だ。君も知ってるだろ」
「もちろん、お名前とお顔は存じ上げています」
テレビのニュースで見たことはあるが、直接お会いしたことはもちろん無い。

「今日は父を尋ねていらっしゃるんだが、僕にも会いたいってことらしい」
「そうですか」

私自身、田所大臣に面識はない。
しかし、そのお嬢様には何度も会っている。
彼女は、5年前尊人さんと間に結婚の話があった方だ。

「10時に応接室だから、君も同行してくれ」
「はい」
仕方ない、仕事の席であれば行かないわけにはいかない。
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