再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない～運命なんて信じないはずでした～

「子供って何を食うんだ？」
私が電話をしている間に、尊人はメニュー帳らしきものを取り出して首をひねっている。

「え？」
「夕飯だよ。沙月たちもまだだろ？」
「ええ」

確かみまだ夕食は食べていない。
でも、

「もしかして何かとるつもり？」
「ああ、今から出かけるのは面倒だろ？」
「それはそうだけれど・・・」

高級マンションからとる出前って、とても高そうな気がする。

「中華とか、ウナギとか、寿司でもいいぞ」
「うーん」

どれも私の好物だけれど、生ものや辛い物や脂っこいものなど凛人には食べられないものが多い。

「よかったらあるもので、私が作ってもいい？」
「それはいいけれど、面倒じゃないのか？」
「平気よ。毎日のことだもの」

付き合っていたころは外で会うことばかりで尊人に料理を振る舞ったことは無かった。
けれど、凛人が生まれてからは毎日食事を作っている。
ここは家事代行サービスが入っているみたいだから食材はありそうだし、もし食材がなければ買い物に出てもいい。
建物の側にはコンビニもあったはずだから、不便はないだろう。