再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
翌朝、いつもより少し早く起きた私は3人分の朝食を用意した。

ご飯と、お味噌汁と、塩サケと、卵焼きとお浸し。あとは凛人用にソーセージも焼かせてもらった。
尊人が食べるかわからないけれど、冷蔵庫を見ながら決めたメニューだ。

「おはよう、いい匂いだな」
朝食の準備ができた頃、尊人が起きてきた。

「今日はご飯にしたんだけれど、よかったかしら?」

確か朝からご飯でも平気な人だったはずだけれど、アメリカ生活が長いって聞いたから好みも変わっているのかもしれない。

「うん、朝からお味噌汁はうれしい」
「そう、よかった」

「おはよう」
ちょうど凛人も起きてきた。

「おはよう凛人。もうすぐご飯だから顔を洗っていらっしゃい」
「うん」
眠たそうに目をこすった凛人は、一旦私に返事をしてから尊人を見上げた。
「おじさん、きのうのくっきーをちょうだい」

え?
「ダメよ凛人、朝からおやつはダメ」
「えー、おじさんいいでしょ?」
「凛人っ」
つい声が大きくなった。

子供ながらに、この人は言うことを聞いてくれる人だってわかっているんだ。
きっと甘えているんだろうけれど、ダメなものダメと言わないといけない。

「ほら凛人、顔を洗ってきて」
「・・・やだ」

はあー、もう。
普段ならこんなわがまま言わないのに。

「もういいわ、凛人はご飯を食べないのね」
プイと私が反対を向くと、

「・・・わあーん」
今度は凛人の泣き声が部屋中に響いた。
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