再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
そこから10分ほど走ってたどり着いた、大きな洋館。
ここは私でも名前を知っている、高級会員制クラブだ。
時々セレブがパーティーをしたなんて記事を見るけれど、実際には来たことのない場所。

「あの・・・」
さすがにここは私が来るには場違いだろうと、入り口で一度足が止まった。

「怪しい場所じゃないから安心して」
大丈夫だよと笑いかけてくれる男性。

怪しい所でないのは私にだってわかっている。
どちらかと言うと、怪しいのは私の方だ。

ここは政界、経済界、芸能界の著名人が集まる場所。
格式もあり、誰でもが簡単に入られるところでもない。

「さあ行こう。部屋を用意してもらったから」
再び腕を引かれ建物の中へと入って行く。

それにしてもこの人は何者だろう。
堂々とした立ち居振る舞いはこういう場にも慣れているように見えるし、出迎えたスタッフも男性のことをよく知っているようだった。
やはりただものではない。

その後、高級ホテルのようなフロントを抜け、高そうな調度品の飾られた廊下の先にある客室に私たちは入った。
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