再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
大学に入ると同時に1人暮らしを始めた私は、大学に行く以外の時間はほとんどバイトに充てていた。
カフェのウエイトレスや、家庭教師、コンビニや居酒屋の店員。
お金がよくて時間の自由が利くところを探していくつものバイトをしてきた。
おかげで、大学の学費も家賃も生活費も全て自分で賄っている。
もちろん両親は出してあげるよと言ってくれるけれど、2つ下の弟が医学部に行ったこともありこれ以上負担をかけたくなかった。
ただ、一生懸命に働くのはお金のためだけではなくて、私自身のこだわりでもある。
専業主婦の母を見て育ったせいか自分は自立して生きていくんだと小さな頃から思っていて、母のように誰かに養ってもらう生き方はしたくないと考えていた。
だからお金のいいカラオケ店でのバイトもはじめたんだけれど・・・さすがにもう無理だろうな。
酔っぱらっていたとは言え相手はお客さん。
あれだけのトラブルを起こせば店にはいられない。

トントン。
「ねえ、大丈夫?」

なかなか出てこない私に声がかかった。
どうやら心配されたらしい。

「すみません、すぐに出ます」
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