再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
洋室の隣にはベットルームがあった。
綺麗にベットメイクされたダブルベットに、私と尊人さんは倒れ込む。

「本当にいいんだな?」
「ええ」
ここまで来ても確認する尊人さんに私は笑いそうになった。

もつれ合い絡み合いながら衣服を奪い、下着姿になった私と尊人さんがベットの上で見つめあう。

「ごめんな」
苦しそうに尊人さんの口からこぼれた言葉。
それは何に対する謝罪だったのだろうか。
一瞬考えて、唇に感じた温かさに思考を止められた。

柔らかな物腰の尊人さんからは想像もできない荒々しい口づけ。
すぐに口内を責められて、私は息もままならない。

う、うぅんー。
漏れ出るのは声にもならない声。

静かな室内に水音が響く。
そんな中でも、尊人さんは攻撃の手を緩めない。

唇から耳へ、鎖骨から胸へ。
執拗に愛撫し続ける体温が私の体と同化していく。

「あぁー」
胸の頂に尊人さんの唇が触れた瞬間、こらえていた声がこぼれた。

いくら恋愛結婚否定派の私でも、今までに付き合った彼氏はいた。
一応の経験だってある。
それでも、尊人さんとの夜は別世界のようだった。
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