再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
「あ、あぁ、お願い、もう・・・」

それからどのくらいの時間が経ったのだろうか、私達はまだベットの中にいた。

今まで生きてきて、こんなにも強く何かを求めたことは無かったように思う。
たとえこの一瞬であっても彼の側にいて鼓動を感じていたいと私は願った。

「ヤバイ、止まらない」
ポロリと漏れた彼らしくもない言葉。

言いながらも強く体を突き動かし続ける尊人さんに、私は何も言い返すことができない。
その後も、私達は時間を忘れてお互いを求め続けた。

「沙月、君が好きだよ」
甘くささやくような声。
「私も、尊人が、好き」
ガラガラの声でやっと答えた。

この日偶然に出会った私たちはお互いのことを何も知らない。
もし本当に好きだというのなら、それはもう本能の叫び。
たとえ一時に逢瀬だとしても、後悔はない。
そう思えるほどに、この瞬間の私は幸せだった。
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