再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
「それでは、カンパーイ」

予定通り7時に始まった納涼会。
仕事で遅れるスタッフもいて集まったのは20人ほど。
私も勧められるまま慎之介先生の隣に座った。

「沙月ちゃんいっぱい食べてね」
「はい」

今日は遅くなりそうだからと、凛人を実家にお願いしてきた。
後で迎えにはいくけれど、母が見ていてくれるから心配はない。

「失礼いたします。お連れ様がおいでになりました」

わざわざ女将さんが案内して入って来たお客さんを見た瞬間、私は持っていた箸を落としてしまった。

え、嘘。
どうして尊人さんが?

「おお、来たな。こっちだ」
当然のように慎之介先生が上座を勧める。

「すまない遅くなったかな?」
「いや、今始まったところだ」
「そうか、よかった」

何だろうこの展開。
確かに慎之介先生の友人だと聞いたけれど、会社の飲み会にまで来るなんて聞いていない。

私が動揺している間に慎之介先生が尊人さんをみんなに紹介して、今日の飲み会は尊人さんお奢りだと言った瞬間に拍手が起きた。
< 43 / 167 >

この作品をシェア

pagetop