再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
料亭を出る時、タクシーを呼びましょうかと女将さんから声をかけられたが私は断った。
駅までは徒歩でも15分ほど。
街灯もあって暗い道でもないし、危険も感じない。
少し入ってしまったアルコールを抜くにはいい散歩だろうと思えた。

それにしても、なぜわざわざ尊人さんがやって来たんだろう。
いくら慎之介先生の友人とは言っても、事務所の飲み会にやって来る理由がわからない。
もしかして・・・・いやいや、まさか。
ちょっとだけうぬぼれた妄想をしそうになって、私は頭を振った。
三朝財閥の御曹司が、たった数ヶ月付き合っただけの元カノに未練とかあるはずがない。
もしその気があったなら、5年も放置しておくはずはないもの。

「はあー、困ったな」

この先こういう出会いが頻繁にあるようなら仕事を変わらなくてはいけないかもしれない。
今の職場には何の不満もないけれど、凛人のことはどんなことがあっても尊人さんに知られたくない。
それだけは何とかしなくては・・・
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