再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない～運命なんて信じないはずでした～

「たとえどんなことでもお前は知りたいか？聞いた後で後悔しないか？」
まるで脅すような口調に、俺も不安が募る。
しかし、聞かないでは先には進まない。

「ああ、知りたい。この5年俺はずっと後悔してきたんだ」

あの時物わかりのいいふりをして沙月を手放したことをずっと悔やんでいた。
別れてから半年ほどして意を決して電話を掛けた時沙月の番号が変わっていたのを知って、その時になって俺は本当に捨てられたんだと実感したんだ。
どんなにかっこ悪くても、俺の側にいろと言えばよかった。
だからもう、俺は逃げないと決めた。

「明日の朝8時半にそこで待っていろ」

そう言って慎之介から送られてきたメッセージには、沙月と約束した駅から5駅離れた駅名が書かれていた。

「ここに、何があるんだ？」

　明日の10時に沙月と約束をしているし、わざわざ早い時間に行く意味が分からない。

「いいからそこでその時間に待っていろ。そうすればわかるはずだ。俺に教えてやれるのはそれだけだ」
「しかし、なんで」

その後も何度か慎之介に尋ねたが、何も教えてはくれなかった。
さすがに俺もこれ以上は聞いても無駄だとわかり、その時を待つことにした。