再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
日曜日の朝。
慎之介から指定された時間より20分ほど早くやってきた俺は、駅の前に車を止めて待っていた。

ここは東京でも下町にあたる住宅地。
以前沙月が住んでいたところの最寄り駅ではないようだが、都心に比べて住みやすいところには違いない。
行き交う人たちもカップルや子供連れが多いように見える。
沙月もこの町に住んでいるんだろうか。

そう言えば、付き合っていたころの沙月も1人で下町に住んでいた。
そして、どんな時にも俺に甘えようとはしなかった。
大学の学費も生活費も全て自分で賄っていると聞いて、少しでも援助したいと言っても聞き入れなかったし、記念に何か買ってあげると言っても「高いものはいらない」きっぱりと断られた。
あの頃から沙月は頑固だったな
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