再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
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5年前。
初めて彼女に出会った日。
その日の俺は珍しく不機嫌だった。
原因は父さんから催促され、無理やりセッティングされたお見合い。
お見合いと言っても仕事上の利害関係が絡んだもので、会ってしまえば簡単には断れないのはわかっていた。だからズルズルと逃げていたんだが・・・。
その日とうとうしびれを切らした父さんが無理矢理俺を行かせようとした。
財閥を継承するからには好き勝手に恋愛をして誰とでも結婚できるわけでないのは俺だって承知している。
結婚によって生まれる縁戚関係が、その家の後ろ盾になると理解もしている。
それでも、俺はお見合いをして父さんの思うままに結婚するのが嫌だった。
だから、逃げ出した。
いつもなら社用車での送迎を利用するところを1人徒歩で退社した。
このまま朝までどこかに隠れているつもりだった。
その時出会ったのが沙月だ。
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